木更津淳は聖ルドルフで幸せになれたのか
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昨年10月に開催された『オールテニプリミュージアムin京都』にて、ファンからの投票で1位になった試合だ。
上位に選ばれた試合は、順次再アニメ化される予定で、既に3作目まで制作が決定している。
個人的には関東大会立海戦 大石菊丸VS仁王柳生で、柳生がちゃんとレーザービームを撃つのが見たい。
もしも自分が、テニスの王子様で一番好きな試合を決めるとしたら、確実に1番は
『都大会聖ルドルフ戦 海堂桃城VS木更津柳沢』だ。
この試合は最後、桃城の放ったダンクスマッシュが柳沢の顔面に直撃し、棄権という結果に終わる。コミカルなシーンとなっているし、聖ルドルフがややヒール的な描かれ方をしているため、うまいことオチをつけたのかな、という印象だ。
しかし、この試合は青学の2人の成長や、ライバルであるが故の関係性がアツい。
ルドルフの2人は、観月のシナリオをあえてぶち壊して、「自身の納得できる勝利」を追求する。
その結果、棄権というかたちで敗退してしまうのだが、両者の勝利へのポリシーがぶつかりあう、非常に少年漫画的な試合なところが好きだ。
一見地味な学校であるうえ、超初期に登場したため忘れられがちだが、非常に熱いので、是非読み返していただきたい。
その後2人のデュエット曲『青い炎』を聴いてほしい。
なんだかラブがファントムしそうな曲だが、2人の勝利へのこだわりが詰められた歌詞が、これぞキャラソン!と思わせる。聴いてください。
キャラ造形やアニメでの鶴岡さんのハスキーな声は勿論、1人の人間として、彼が好きなのである。
公式ファンブック23.5巻では、巻頭カラーにて、彼がスカウトされた経緯が描かれている。ありがとう許斐先生。
六角中のメンバーは昔からの幼馴染であり、指導者であるオジイの元、手作りのウッドラケットを持ち、テニスを楽しんでいる。
兄弟もいる、友人もいる。それに、六角中は全国大会常連校だ。
聖ルドルフが都大会敗退だったということを考えると、彼が"全国制覇"を目的としていたのであれば、この選択は誤っていたと言えるだろう。
何故、彼は聖ルドルフへ行くことを決めたのだろうか。
一ファンの勝手な考察でしかないが、
彼は不二裕太と同じで「自分の名前で呼ばれたい」のだと思う。
そもそも観月は亮を狙ってスカウトをしていたということは、テニスの技術は亮>淳なのだろう。
観月は彼らが双子だということを知らなかったとしても、「千葉に木更津亮って強い奴がいる」と聞いていたのであれば、世間的にも亮が評価されているはず。
そこで、淳は埋もれてしまっていたのではないか。
評価されるのはいつも亮。
そんな中で、自分(間違われてるけど)を求めてくれた、観月を信じたいと思ったのだろう。仮に間違えていたとしても、その瞬間は彼自身を見ていたのだから。
彼はオジイのラケットを手放し、亮とお揃いの長い髪も短く切られ、帽子も被らなくなった。
離れた土地で、自身を『木更津淳』として見てくれる仲間と出逢い、青学を苦しめるまでの実力を発揮する。
結果的には青学に敗退し、5位決定戦も氷帝に敗退。彼らの夏はここで終了だ。
かたや六角は県大会・関東大会を順当に勝ち上がり、全国大会に出場。
結果だけを見れば、どう考えても六角中にいた方がよい成績を残せた。
答えはNOであってほしい。
自分でいられる場所があって、大切な友人も仲間もいる。それに、千葉には帰る家があり、古くからの友人が待っている。
けれど、裕太と同じで淳もまた、『自分』として輝ける場所は聖ルドルフ学院だったのだ。
公式ファンブック40.5巻の、読者からの質問コーナーにて、「淳はルドルフの高等部に進学しますか?」という質問がある。彼は、進学する、と回答した。
きっとそれが、全ての答えなのだろう。
木更津淳のこれからの人生に、幸多からんことを祈っている。
19周年目にして、テニスの王子様に出逢った話
「絵も好みじゃないし、全然惹かれないし、絶対テニプリは読まない!」
そう言っていた中学生の自分に、今言いたい。
あなたはテニスの王子様の虜ですよ、と。
2000年代を生きてきたヲタク女にとって、『テニスの王子様』はバイブルのようなものだ。
誰に聞いても、「あ〜、好きだった!」と答えが返ってくるほど、何らかの形で通過している人が多い。
自分が中学生の頃、テニプリに熱を上げているクラスメイトが沢山いたことを強く覚えている。
そんな中、自分はどうもテニプリが好きになれなかった。
絵も特に惹かれないし、スポ根も然程興味がない。ゴリ押ししてくるヲタク友達に、「興味ないから」と強く突っぱねていた。(その後まもなく、弱虫ペダルにハマり、スポ根が大好きになることをまだ知らない)
"先輩"に出会うまでは。
専門学生になった自分は、相変わらずヲタクをこじらせていた。それ故かまともな友人もおらず、学校にも馴染めなかったため、休学してしまった。そんな中、ゲームセンターのアルバイトだけが心穏やかな時間だった。
そこで出会った、10歳ほど年齢の離れた先輩スタッフが、私の人生を一変させたひとりだ。
先輩はテニプリが大好きだった。
中学生の頃のあやふやな知識しかない自分は、テニプリはボールで人を吹き飛ばしたり、磔にしたりする漫画でしたよね。と言うと、テニプリは熱い漫画だと熱弁し、「本当に面白いから!」と天気の悪い中、20巻ほどまとめて貸してくれた。
私はそれを、読まずに返してしまった。
借りると言ったはいいものの、全く読む気が起きなかったのだ。
その時丁度プライベートでも大きな出来事があり、2年ほど続けた仕事も勢いで辞めてしまった。本だけ「面白かったです」と嘘をついて返した。きっともう先輩と出会うことはないだろう、と思ったからだ。
テニプリとも、関わることはないだろうと確信していた。
そして、人生を変えるもうひとりの人物と出会う。
夜間コースにて復学した自分は、学業に専念するため、アルバイトを辞めていた。
学校は夜遅くから、そうなると日中は何もすることがない。そこで私はyoutubeで、ゲーム実況動画を観ることにハマっていった。昔から実況は好きだったため、数名の実況者をチャンネル登録していたのだが、ある日オススメ欄に一つの動画を見つけた。
テニスの王子様 ぎゅっと! ドキドキサバイバル 海と山のLove Passion
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"テニス部の中学生と、サバイバルの中での恋"という、全く訳の分からない、謎のコンセプトのゲーム。山編を実況している動画だった。
先輩に読まずに漫画を返す、という非道な行為にやや後悔をしていた自分は、先輩への懺悔のつもりで動画を観た。
そこに待っていたのは、丸い伊達眼鏡がトレードマークの、声の小さい男。忍足侑士。
飛んでいってしまったテニスボールを、自分の分身であるつぐみと、忍足侑士が森に探しに行く。
ボールを見つけ、手を伸ばすと二人の手が重なる、乙女ゲームではよくあるイベントだ。通常であればお互い照れながら、手を引っ込めて、少し気まずい…といった甘いイベントのはず。
なのに忍足侑士は、「かわいい手やったから」と、つぐみの手を握り続ける。
それを観て私は心の底から、この忍足侑士を気持ち悪いと感じた。そして、大きなトキメキも。
自分は十年ものの夢女子で、更にこちらに絶妙な気持ち悪さでアプローチをかけてくる男が、非常に好みだった。
彼のことがもっと知りたくなり、インターネットを漁りまくった。超がつくほど大きいジャンル故に、沢山情報が出てくる。
読みだしたら止まらなかった。
菊丸が分身したり、いきなりビーチバレーをしたり、何漫画を読んでいるのかわからなくなったりもしたが、あっという間に青学テニス部は、全国決勝までたどり着く。
傷だらけになって、涙を流し、五感を奪われ(五感を奪われ)ても、どこまでも走り続ける彼らが、あまりにも美しく、綺麗に思えた。
青学が優勝を決めて、作者である許斐剛先生の作詞(作詞?)した
『Dear Prince〜テニスの王子様達へ〜』を見た時には、自分も彼らと一緒に全国の会場にいて、優勝の瞬間をこの目で見た!と確信した。ヲタク特有の幻覚症状だ。
その勢いで新テニを全巻読み、テニラビをダウンロードし、許斐剛先生ソロライブで発売された原作仕様のジャージを購入した。
気づいた頃には、最早テニスの虜だった。
それからは夢女子の自分と、原作原理主義者の自分とが戦い、手を取ったりしながら、
新たな境地『ミュージカル テニスの王子様』へと、一歩ずつ足を進めることとなる。
そんなことを、まだこの時私は知る由もなかった。
②に続く