19周年目にして、テニスの王子様に出逢った話
「絵も好みじゃないし、全然惹かれないし、絶対テニプリは読まない!」
そう言っていた中学生の自分に、今言いたい。
あなたはテニスの王子様の虜ですよ、と。
2000年代を生きてきたヲタク女にとって、『テニスの王子様』はバイブルのようなものだ。
誰に聞いても、「あ〜、好きだった!」と答えが返ってくるほど、何らかの形で通過している人が多い。
自分が中学生の頃、テニプリに熱を上げているクラスメイトが沢山いたことを強く覚えている。
そんな中、自分はどうもテニプリが好きになれなかった。
絵も特に惹かれないし、スポ根も然程興味がない。ゴリ押ししてくるヲタク友達に、「興味ないから」と強く突っぱねていた。(その後まもなく、弱虫ペダルにハマり、スポ根が大好きになることをまだ知らない)
"先輩"に出会うまでは。
専門学生になった自分は、相変わらずヲタクをこじらせていた。それ故かまともな友人もおらず、学校にも馴染めなかったため、休学してしまった。そんな中、ゲームセンターのアルバイトだけが心穏やかな時間だった。
そこで出会った、10歳ほど年齢の離れた先輩スタッフが、私の人生を一変させたひとりだ。
先輩はテニプリが大好きだった。
中学生の頃のあやふやな知識しかない自分は、テニプリはボールで人を吹き飛ばしたり、磔にしたりする漫画でしたよね。と言うと、テニプリは熱い漫画だと熱弁し、「本当に面白いから!」と天気の悪い中、20巻ほどまとめて貸してくれた。
私はそれを、読まずに返してしまった。
借りると言ったはいいものの、全く読む気が起きなかったのだ。
その時丁度プライベートでも大きな出来事があり、2年ほど続けた仕事も勢いで辞めてしまった。本だけ「面白かったです」と嘘をついて返した。きっともう先輩と出会うことはないだろう、と思ったからだ。
テニプリとも、関わることはないだろうと確信していた。
そして、人生を変えるもうひとりの人物と出会う。
夜間コースにて復学した自分は、学業に専念するため、アルバイトを辞めていた。
学校は夜遅くから、そうなると日中は何もすることがない。そこで私はyoutubeで、ゲーム実況動画を観ることにハマっていった。昔から実況は好きだったため、数名の実況者をチャンネル登録していたのだが、ある日オススメ欄に一つの動画を見つけた。
テニスの王子様 ぎゅっと! ドキドキサバイバル 海と山のLove Passion
- 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: Video Game
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"テニス部の中学生と、サバイバルの中での恋"という、全く訳の分からない、謎のコンセプトのゲーム。山編を実況している動画だった。
先輩に読まずに漫画を返す、という非道な行為にやや後悔をしていた自分は、先輩への懺悔のつもりで動画を観た。
そこに待っていたのは、丸い伊達眼鏡がトレードマークの、声の小さい男。忍足侑士。
飛んでいってしまったテニスボールを、自分の分身であるつぐみと、忍足侑士が森に探しに行く。
ボールを見つけ、手を伸ばすと二人の手が重なる、乙女ゲームではよくあるイベントだ。通常であればお互い照れながら、手を引っ込めて、少し気まずい…といった甘いイベントのはず。
なのに忍足侑士は、「かわいい手やったから」と、つぐみの手を握り続ける。
それを観て私は心の底から、この忍足侑士を気持ち悪いと感じた。そして、大きなトキメキも。
自分は十年ものの夢女子で、更にこちらに絶妙な気持ち悪さでアプローチをかけてくる男が、非常に好みだった。
彼のことがもっと知りたくなり、インターネットを漁りまくった。超がつくほど大きいジャンル故に、沢山情報が出てくる。
読みだしたら止まらなかった。
菊丸が分身したり、いきなりビーチバレーをしたり、何漫画を読んでいるのかわからなくなったりもしたが、あっという間に青学テニス部は、全国決勝までたどり着く。
傷だらけになって、涙を流し、五感を奪われ(五感を奪われ)ても、どこまでも走り続ける彼らが、あまりにも美しく、綺麗に思えた。
青学が優勝を決めて、作者である許斐剛先生の作詞(作詞?)した
『Dear Prince〜テニスの王子様達へ〜』を見た時には、自分も彼らと一緒に全国の会場にいて、優勝の瞬間をこの目で見た!と確信した。ヲタク特有の幻覚症状だ。
その勢いで新テニを全巻読み、テニラビをダウンロードし、許斐剛先生ソロライブで発売された原作仕様のジャージを購入した。
気づいた頃には、最早テニスの虜だった。
それからは夢女子の自分と、原作原理主義者の自分とが戦い、手を取ったりしながら、
新たな境地『ミュージカル テニスの王子様』へと、一歩ずつ足を進めることとなる。
そんなことを、まだこの時私は知る由もなかった。
②に続く